「第4期横浜市教育振興基本計画」素案への意見

,

      

    2022年10月31日

ヨコハマ市民自治を考える会/新たな中期計画検討部会

はじめに

私たちは2019年8月22日、林前市長がカジノ誘致を正式表明して以降、それを撤回させるための市民運動に参加する中、2020年11月、「ヨコハマ375万人市民自治をどうする!?」というシンポジウムを開催。その直後に立ち上げた市民組織です。その多くが市長選挙では「カジノ反対と市民自治」の立場を明確にした山中市長実現のため運動に参加しました。

山中市長誕生は、横浜市民の「民意の勝利」であり、市民自治の復権と評価しています。以降、「住み続けたいまち横浜」という新たな市政に大きな期待を持ち、その実現のため、市民自治を発展させるべく活動してきています。

私たちは、山中市政になって初めて市政の基本方向を打ち出す「中期4カ年計画」に大きな関心と期待を抱き、「新たな中期計画検討部会」を設け、学習を重ねてきました。

ところが、当初提示された「中期計画の基本的方向」は、率直に言って期待はずれ、幻滅さえ感じました。なぜなら「明日をひらく都市」像について、随所に「子ども」重視、「誰もがWELL-BEING」などの文言は多用されていましたが、それを実現する方策、とりわけ財政の裏づけがされておらず、これまでの大型開発優先の市政の転換が明確になっていなかったからでした。私たちは、その点を指摘して、「これでは絵にかいた餅に終わる」と厳しい批判の意見書を提出しました。

そうした市民からの批判が多かったのでしょうか、次に提示された「中期計画」(素案)は、「中期計画の基本的方向」の問題点を改める姿勢を感じさせるものになっていました。すなわち、これから10年間に追求する新たな「基本戦略」として「子育てしたいまち、次世代を共に育むまちヨコハマ」を掲げ、「子育て世代への直接支援」を起点とする好循環を実現するとし、財政も「『基本戦略』への貢献度が強い策を優先して実行していく」と明記されました。

山中市長の「3つのゼロ」など主要公約も一定「政策」に盛り込まれ、240億円の財政の裏づけも明記されました。

私たちは、これまでの「経済活性化」を起点とする大型開発優先の「戦略」を転換するものと理解しました。

そういう意味で「中期計画(素案)は、山中市政が『命と暮らしを優先する市政』への転換という市民の願いに応えようと第一歩を踏み出したものと、期待を込めて評価したい」と意見書を提出したところです。

 以上述べたような「中期計画」(素案)を一定評価する立場から見ると、「第4期横浜市教育振興基本計画」素案の「柱4、施策1」の中学校給食の実施方式については納得できないので意見を提出します。

具体的意見

結論 「中学校給食は、市民が切望する学校調理方式の「できたて・温かい」給食に改めるべきである。」

素案では、「すべての生徒が満足できる中学校給食の実現と食育の推進」が掲げられているが、実施方式については「デリバリー型」で「供給体制を確保する」となっている。

これは、看板に偽りありともいうべき施策ではないか。

なぜなら、教育委員会の生徒・保護者アンケートでも、「温かさ」を求めているのが最多であった。今なお、学校調理方式を求める市民の要求は根強く、運動が続けられている。それは、デリバリー型では「すべての生徒が満足できる」ものにならないという生徒・保護者の意思表示であることは明らかである。

にもかかわらず、デリバリー型を「最適」とした「実施方式の検討にあたっての項目・考え方」には、その肝心な生徒・保護者、市民の要求は一切入っておらず、度外視されている。もっぱら供給体制や民間事業者、とりわけ財政負担など実施する側の事情ばかりが「検討項目」となり、偏っている。

しかも、大阪市ではいったんデリバリー型で出発したものの、評判が悪くわずか2年で学校調理方式に切り替えざるをえなかったという事例も出ている。この教訓は生かされねばならない。いったんデリバリー型で出発してから、学校調理方式に切り替えるとなると財政負担は倍加し、混乱は必至である。

さらに、「食育の推進」という観点から見て、デリバリー方式より、学校調理方式がはるかに効果的であることは説明を要しないであろう。

要するにデリバリー型では、「すべての生徒が満足できる中学校給食」も、「食育の推進」も実現できないのは明らかではないだろうか。

これらに加え、われわれが強調したいのは、上位計画である「中期計画」(素案)に「基本戦略」として「子育てしたいまち、次世代を共に育むまちヨコハマ」を掲げ、「子育て世代への直接支援」を起点とする好循環の道筋を示したこととの関係性についてである。

山中市長は、「子育て世代への直接支援」を「市政の1丁目1番地」と言っており、中学校給食のあり方は、その核心部分と言ってよい。「子供の貧困と給食問題」を研究した専門家も、中学校から高校にかけての時期がもっとも貧困率が高く、中学校給食は「栄養格差」を縮小するだけでなく、よりよいコミュニケーションをつくるうえでも最適な政策である、と述べている。

したがって、中学校給食の実施方式については、新たな中期計画の「基本戦略」の好循環を首尾よく回すうえでのカギであるという位置づけを明確にして、古い中期計画下で実施されてきたデリバリー型の延長ではなく、生徒・保護者が切望している学校調理方式に大胆に切り替えるべきである。

                      以上。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

PAGE TOP