〇横浜市政の新たなる発展のために市民に訴える


                  1977月12月14日

 飛鳥田市長が紆余曲折を経て、社会党の委員長になったことによって、横浜市政は新しい段階を迎えた。

 だがここで私達は冷静に、事態を受けとめたい。たとえ市長が、中途で辞めることがあっても、これまで横浜市民が築きあげた市民自治を守り抜き、より一層発展させなければならない。

 自治能力の蓄積はわれわれ市民みずからの英知と苦悩の中で想像してきたものであり、そしてその力が市政を支えてきたのである。したがって、今後の横浜市政のあり方は、なによりもわれわれ市民の自治創造の原点にもどして考えるべきであろう。それにはまず15年間におよぶ市政の総点検と、新しい市民自治の創造からはじめなければならない。

 私たちは、市民として、専門研究者として現在の事態のなかで、敢えて、次の提言をしたいと考える。

 第一に、市民自治こそ市民の生命であり、この精神をより広め、深めることが市民の責務である。

 第二に、市民一人ひとりの自立性と自発性に立ちかえって、従来の市政を共有財産として市民参加の市政の発展を築いてゆきたい。

 第三に、新たなる市政は、たんなる、政党の組み合わせによって、つくられるのではなく、市民の信条・生活をふまえた自治と連帯を基礎として構想されるべきである。

 第四に、したがって勤労市民生活の実際から離れた党派的利害が優先するような地方政治であってはならない。

 第五に、飛鳥田市政のたんなる継承ではなく、市民参加と市民福祉を基礎にした市政の質・量の新たな展開こそ、中心課題である。そのことなしには、新たな市政の前進はありえないと考える。

 以上、転機に立つ市政への私たちの卑見を披露した。新しい横浜市政の発展のために、270万市民ならびに各政党、諸団体が、これらの提案について十分に討論され、広く市民自治の立場に立って自発的にさまざまなかたちで結集することを訴えるものである。

 昭和52年12月14日

  呼びかけ人

   横浜在住、在職の学者研究者22人。署名。

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