請願書
2024年(令和6年)5月20日
横浜市会議長
瀬之間 康浩 殿
請願者 住所 神奈川県横浜市港北区綱島東5-22-22
氏名 倉田 謙(自筆署名)
ほか 43人
紹介議員 白井正子 大野トモイ 井上さくら(自筆署名)
件名 国に対して地方自治法一部改正案を廃案にする意見書を提出する請願
請願項目 市会として、団体自治を侵害し地方自治の本旨に反する地方自治法一部改正案に反対すること
請願の理由・経緯等
第213回国会において地方自治法一部改正案が上程され、5月7日に衆議院本会議で趣旨説明がなされ本格審議に入った。この改正案は、「大規模災害」や「感染症のまん延」等の「国民の安全に重大な影響を及ぼす事態が発生し、または発生する恐れがある場合」には、「特例」として、個別法に規定がなくても、閣議決定をもって国が自治体に対して「補充的な指示」を行うことができる強大な権限を新設するものだ。
しかし、災害、感染症まん延については、個別法による国の関与も十分可能で、「補充的な指示」の要件もきわめてあいまいなうえ、必要な立法事実は見当たらない。改正案は、新型コロナ禍で国と地方自治体の調整が難航した例などを挙げて「指示権」の必要性を指摘しているが、国による一斉休校の指示やPCR検査では問題も起こり、現場を預かる地方自治体の方が国に一歩先んじて適切な対応を行った例もあり、十分な分析・検証が行われたうえでの立案とは言えない。
2000年の「地方分権一括法」の施行から約4半世紀、国と地方の「対等・協力」の関係が確認されたものの、昨年末、辺野古新基地建設をめぐり沖縄県に対して法定受託事務として史上初めて代執行を強行した事実が示すように、むしろ国が地方に対して関与する動きが強まっている。改正案は、個別法の根拠規定なしに、一般法である地方自治法に基づいて国が「自治事務」に対しても指示権の行使を可能にする。また国民の安全に重要な事態が「発生する恐れがある場合」にも適用され、指示権を行使する状況を大幅に拡大できる。さらに「平時」にも適用される余地を残すなど、指示権の乱用が懸念される。
このような強大な指示権を国に認める改正案は、団体自治を侵害するものであり、憲法で規定された地方自治の本旨に反し、国と地方の「対等・協力」の関係を「上下、主従」の関係に後戻りさせるものと言わなければならない。
横浜市議会基本条例の第2条「基本理念」は、「議会は、市長その他の行政機関と対等の立場にある合議制の議事機関であり、(中略)市民の多様な意見等を把握し、市政に反映しうる合議体としての特性を最大限生かすことにより、市民自治の観点から、真の地方自治を実現するものとする」としている。日本最大の基礎自治体の議会として、今こそ、「真の地方自治を実現する」ために、市長等とも連携し、地方自治法一部改正案に反対する意思を示すべきである。
以上の趣旨で地方自治法第99条の規定により国に対して意見書を提出されるよう請願する。
以上
コメントを残す